間-あわい-を読む 終了しました
富山県砺波市のギャラリー無量にて開催いたしました個展「間-あわい-を読む」も昨日無事に終了いたしました。
今回の展覧会は黒部市美術館の尺戸智佳子さんと今年の春から展示構成や内容のお話合いをしながら作りあげたものです。作家の語る言葉を時に作家以上に深く丁寧に拾いあげてくださり、私の提案に対しても尊重し応援してくださいました。今回の展示作品「うつしみ」制作の背景にあるインタビューテキストを視覚化したインスタレーションも、尺戸さんのテキストに関するアドバイスから発展していったものでした。尺戸さんは気遣いを相手に感じさせない心配りをしてくださるしなやかでたくましい素敵な女性で、今回ご一緒できたことは大変うれしく光栄でした。
そして今回2回目となるキュレーションの展覧会を企画してくださったギャラリー無量の小西さんご夫妻はギャラリー無量にて2020年から開催予定のキュレーションの公募展を念頭に、来年2019年も第3回のプレイベントとして気鋭のキュレーターによる展覧会を企画されています。今後の動向が見逃せません!小西さんご夫妻もとても魅力あふれるお人柄で、奥さまは美術館のエデュケーターを地で行かれるような素敵な方で、今回の展覧会ではご夫妻が親戚のように温かく迎えてくださいました。
私は現在、石川県の金沢を拠点に活動をしています。富山県での展覧会は今回が初めてで、美しい山々と田園に囲まれた砺波の土地にご縁をいただいたことをとても嬉しく思っています。砺波をはじめお隣の南砺、黒部など県内から、また金沢や岐阜からも沢山の方がお越しくださり、日曜日ごとの在廊で様々な方とお話をすることができました。友人たちや富山を拠点にされている作家の方々、美術関係者の方、ご近所の方、ラジオやテレビの情報から興味を持ってくださった方、みなさま、本当にありがとうございました。
展覧会に来てくださった方に声掛けしてお話をするのは、実は勇気が要り、躊躇します。この方は私の作品に興味を持っておられないかもしれない・・と思うときは尚更です。「この作品は○○だけど・・、」「○○だが・・、」という接続詞にドキドキしながらぐっとこらえてお話を聞いていると、私が驚いてしまうほど作品を好意的に受け止め、興味を持ってご覧くださり、非常に温かい励ましの言葉をいただくことも多く、お話をして本当に良かったと思うことばかりでした。今回展示をした「うつしみ」の作品のコンセプトとリンクしながら、他者の人生の時間、人心の温かさに触れた展覧会でした。
今回の展覧会に限らず、「地方の小さな町で果たしてアートは必要としてもらえるのだろうか」という私の微かな疑問に対して、アートに何かを求めている人の心、作品を読み解く感性や豊かな人生経験、その土地の人々の暮らしがあり、そこにアートは関わっていくことができると肌で感じることができました。予算や費用の面で簡単ではないことも想像できますが、「ここから」現代のアートを発信するのだという熱意を持った方々と今後も様々な土地で展覧会の機会を作っていけたら良いなと思っています。
最後になりましたが、今回の展覧会の機会を作ってくださったギャラリー無量の小西さんご夫妻、そして展覧会を企画してくださった黒部市美術館の尺戸智佳子さんに改めて、心よりお礼申し上げます。
年内の展覧会は石川県伝統産業工芸館で12月9日より始まった「MATERIAL×ART」が2019年2月4日まで開催中です。
来年の展覧会は3月に東京でのグループ展を予定しております。
それではみなさま、良き新年をお迎えください。
また来年もお会いできますように。